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第二回 「食欲の秋は病気かも?!」 |
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暑い夏も一段落し、秋風が吹くようになりましたね。
秋の夜長といわれるようにだんだんと夜が長くなってきているのを実感いたします。
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さて、今回の健康茶話は秋になると憂鬱な気分になる方のお話です。
楽しかった夏休み、さんさんと太陽が照りつける夏のビーチなどを
思い浮かべ、秋と比べると、秋のイメージはどうしてもさびしい感じがしてきます。
いわゆる祭りの後のさびしさといった感じでしょうか。
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春、夏はいいのだが、秋になると体調を崩し、なんとなくやる気が起きない、いくら寝ても寝足りず、朝起きるのがつらくなる、気分が落ち込んで勉強も仕事もすすまない。夕方になるとますますさびしい気分が強くなる。こんな経験をしたことがありませんか? もしかしたら、あなたは『季節性うつ病』かもしれません。そんな病名本当にあるのかといわれそうですが、正式病名は季節性感情障害(SAD: Seasonal Affective Disorder)という立派な病気です。その症状は、10月ころから調子が悪くなり、落ち込み、意欲低下、焦燥感、過眠、甘いものがほしくなり、炭水化物(ご飯、パン、麺類)の摂取量が増え、食欲が増す(!!)。当然体重も増える(!)。 普通のうつ病は不眠や食欲不振になりますが季節性うつ病は睡眠過多、食欲過多となります。季節性うつ病にかかりやすいのは20歳前後の女性に多く(♂:♀=1:4)、日照時間の少ない北の地方に住んでいる方に多いといわれています。
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ところで皆さん、この症状は実は冬眠前の動物の状態に近いことにお気づきでしょうか、
冬眠する動物は、日照時間が減少してきたことを察知して、冬が近いことを知ります。
寒い冬を寝てすごすために、炭水化物を大量に摂取して、皮下脂肪としてたくわえ、冬眠の準備をします。 人間にも脳の一部にメラトニンという睡眠ホルモンを作っている松果体という部分があり、この松果体は目からの光刺激が減ってくるとメラトニンを多く分泌するため、眠くなってくるようです。部屋を暗くしていると眠くなるのにもこのような理由があります。そのため、秋になって日照時間が減ってきたことを感知した松果体がメラトニンを分泌し、睡眠過多の状態を引き起こしている可能性があります。 |
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ただし、中高年になると、メラトニンの分泌は少なくなるため(松果体の機能低下のため)、このように睡眠過多になる方は逆に体が若い証拠でもあります。人間も元来は冬眠をする動物であったのかもしれません。秋になると食欲がふえ、よく眠るのは冬眠の準備をしているのかもしれませんね。 |
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心当たりの症状がある方は、冬眠しないように気をつけてください。
ちなみにこの季節性うつ病は、抗うつ薬はほとんど効きません。高照度光療法といって、非常に明るい光を朝、浴びることが効果があるようです。
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